杖(ステッキ)の選び方|高齢者向けおすすめと正しい長さ・使い方【2026年版】
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執筆:イェウヘン・ポリシュク。本記事は、厚生労働省の告示、自治体・病院・福祉情報サイト、杖メーカーが公開している情報をもとにまとめた一般的な情報です。医療上の助言ではありません。持病や痛みのある方、歩行に不安のある方は、医師・理学療法士・ケアマネジャーにご相談ください。
杖(ステッキ)は、歩くときに体を支えてバランスを助ける歩行補助具です。介護保険の制度では、杖類は「歩行補助つえ」と呼ばれます。
先に結論:杖(ステッキ)選びの4つのポイント
- 種類:ふだんの外出にはT字杖、持ち運ぶなら折りたたみ杖、1本杖では不安定なら多点杖(4点杖)が基本の選び分けです。
- 長さ:目安は「靴を履いた身長÷2+2〜3cm」。腕を下ろしたときの手首の高さにグリップが来る長さです。
- 持つ手:片手で使う杖は、痛い(悪い)脚と反対側の手で持ちます。
- 点検と相談:先ゴムがすり減ったら交換を。どの杖が合うかは個人差が大きいため、迷ったら理学療法士などの専門家に相談しましょう。
この記事の内容
杖の選び方|高齢者が最初に確認したい6つのポイント
杖の選び方で大切なのは、デザインより先に「自分の体と使う場面に合っているか」です。東京都の福祉情報サイト「福ナビ」や杖メーカーの案内をもとに、高齢の方やご家族が購入前に確認したいポイントを表にまとめました。
| 確認ポイント | 目安・考え方 | 理由 |
|---|---|---|
| 1. 種類 | ふだん使いはT字杖、支えがもっと必要なら多点杖 | 多点杖は着地面が広く倒れにくい(福ナビ) |
| 2. 長さ | 靴を履いた身長÷2+2〜3cm | 長すぎても短すぎても不安定になる(ケイ・ホスピア) |
| 3. 重さ | T字杖は200〜500g程度が一般的 | 重心が握りから1/3以内にある方が使いやすい(福ナビ) |
| 4. 長さ調節の方式 | 伸縮式・無段階式・折りたたみ式 | 折りたたみ式は持ち運びに便利だが、伸ばす・たたむのに両手が必要(福ナビ) |
| 5. グリップ | 手の大きさに合う太さ・握りやすい素材 | 握り方が合わないと、手首や指の負担につながる |
| 6. 先ゴム | 接地面が平らで、溝がすり減っていない | すり減ったり破れたりした先ゴムは使用をやめて交換(シナノ 取扱説明書) |
杖は「早めに、正しく」使い始める
日本理学療法士協会の「理学療法ハンドブック シリーズ18 転倒予防」は、杖や手すりを「どうしても支えが必要な状態」になってからではなく、「支えがあった方が安心」くらいの段階から取り入れるよう勧めています。一方で福ナビは、いつでもどこでも杖に頼りきっていると本来の体の機能の低下につながるため、機能を落とさないように上手に使いこなすことが大切だと説明しています。つまり、早めに取り入れつつ、専門家と相談して正しく使うのが基本の考え方です。
おしゃれな杖を選ぶときのコツ
「杖を持つのは気が引ける」という方には、花柄やレトロ調などデザイン性の高い杖も選択肢になります。気に入ったデザインなら、杖を持って出かけることへの抵抗感が少し和らぐかもしれません。ただし、おしゃれな杖でも長さの調節範囲・重さ・グリップの握りやすさは必ず確認しましょう。デザインは、上の6つのポイントを満たしたうえで選ぶのがおすすめです。
杖の種類一覧|T字杖・多点杖・ロフストランドクラッチ・2本杖の違い
杖にはいくつかの種類があり、向いている方が異なります。なお、視覚障害のある方が使う「白杖」は本記事の対象外で、ここでは歩行を支える杖(ステッキ)について解説します。福ナビ「杖の種類」の解説と、厚生労働省の告示(介護保険の対象用具の定義)をもとに整理しました。
| 種類 | 特徴 | 主に向いている方 | 介護保険 |
|---|---|---|---|
| T字杖(一本杖) | 現在もっとも普及しているタイプ。握りと支柱に角度があり手首の力が利きやすい | 軽い支えがあれば歩ける方 | 対象外(自費で購入) |
| 折りたたみ杖 | T字杖の一種。たたんでバッグに入れられる | 旅行や外出先でだけ使いたい方 | 対象外 |
| 多点杖(4点杖・3点杖) | 脚が3〜4本に分かれ、着地面積が広く倒れにくい | 1本杖では不安定な方。片麻痺の初期の歩行訓練など(福ナビ) | 対象(選択制) |
| ロフストランドクラッチ | 握りと前腕のカフの2点で支え、腕の力も使える | 握力が十分でない方、脚に体重をかけにくい方など(福ナビ) | 対象(選択制) |
| プラットホームクラッチ | 肘から前腕全体で体重を支える | 手首や肘に障害があるリウマチ・関節炎の方など(福ナビ) | 対象(選択制) |
| 松葉杖(松葉づえ) | 通常2本1組。もっとも重い荷重に耐える | 骨折などで片脚に体重をかけられない方 | 対象(貸与のみ) |
| 2本杖(ウォーキングポール) | 両手に1本ずつ持ち、左右から体を支える | 1本杖だと体が左右に傾きがちな方、歩く習慣をつけたい方 | 対象外 |
※「選択制」は、レンタル(貸与)と購入のどちらかを選べるという意味です(2024年4月から)。介護保険の欄は、厚生労働省告示(平成11年厚生省告示第93号・第94号、令和6年改正)の定義にもとづく一般的な整理です。実際に利用できるかは、要介護認定やケアマネジャーの判断によります。詳しくは介護保険の章をご覧ください。
多点杖(4点杖・3点杖)とは
多点杖(多脚型杖)は、杖の先が3本または4本に分かれた杖です。福ナビによると、着地面積が広いため安定度が高く倒れにくいのが特長で、脳卒中後の片麻痺の初期の歩行訓練、立った姿勢が不安定な方の歩行訓練、変形性股関節症や関節リウマチのある高齢の方などに向くとされています。なお、本記事で紹介する4点杖は約450〜745g(メーカー等の公表値)で、T字杖(200〜500g程度・福ナビ)より重めです。多点杖が合うかどうかは、理学療法士などに確認してから選ぶと安心です。
2本杖(両手に1本ずつ持つ杖)
2本杖は、両手に1本ずつ杖(ウォーキングポール)を持ち、左右から体を支えて歩くスタイルです。メーカーのシナノは、1本杖では体のバランスが左右どちらかに傾きがちなのに対し、2本で両側から支えると左右のバランスが均等になりやすいと説明しています。なお、片脚に痛みや麻痺がある方が1本杖と2本杖のどちらを使うべきかは、体の状態によって異なるため、専門家に相談して決めてください。
2本杖の歩き方・長さの合わせ方・デメリットは2本杖(ノルディック杖)の歩き方・長さ・デメリットで、運動効果を重視する「ノルディックウォーキング」と安全性を重視する「ポールウォーキング」の違いはノルディックウォーキングとポールウォーキングの違いで、シニア向けのポール選びはシニア向けノルディックウォーキングポールの選び方で解説しています。
杖と歩行器(歩行補助具)の違い|どちらを選ぶ?
杖と歩行器は、どちらも歩行を助ける福祉用具(歩行補助具)です。杖は片手(2本杖なら両手)で持ち、体の横や前について体重の一部を支えます。歩行器は、介護保険の告示で「歩行が困難な者の歩行機能を補う機能を有し、移動時に体重を支える構造を有するもの」と定義されており、両手で体を支えながら移動するための用具です(厚生労働省告示第93号)。
| 用具 | 主な形 | 介護保険 |
|---|---|---|
| 一般的なT字杖 | 片手で持つ1本杖 | 対象外 |
| 歩行補助つえ | 多点杖・ロフストランドクラッチなどのクラッチ類 | 対象(選択制) ※松葉づえは貸与のみ |
| 歩行器(四脚) | 四脚で、両手(上肢)で保持して移動させるもの | 対象(選択制) |
| 歩行車 | 車輪の付いた歩行器 | 貸与のみ |
※厚生労働省告示第93号・第94号(令和6年改正)と大阪市の案内にもとづく整理です。歩行器と歩行補助つえは、要支援1・2や要介護1の方も貸与の対象になります(大阪市)。詳しくは介護保険の章をご覧ください。
杖と歩行器のどちらが合うかは、脚の状態、バランス、腕の力、使う場所(屋内か屋外か)などによって変わり、一律の基準で決められるものではありません。杖では不安が残る場合や、いま使っている用具が合っているか迷う場合は、ケアマネジャーや理学療法士に相談し、実際に試してから選びましょう。
杖の正しい長さ|身長別の早見表と合わせ方
杖の長さの目安としてよく使われるのが「身長÷2+2〜3cm」(シナノ)、または「身長÷2+3cm」(幸和製作所、ケイ・ホスピア)という計算式です。ケイ・ホスピアは、ここで使う身長を靴を履いた状態の身長としています。どちらも目安なので、最後は実際に歩いて使いやすい長さに調整しましょう。
| 身長(靴を履いた状態) | 杖の長さの目安(身長÷2+2〜3cm) |
|---|---|
| 145cm | 74.5〜75.5cm |
| 150cm | 77〜78cm |
| 155cm | 79.5〜80.5cm |
| 160cm | 82〜83cm |
| 165cm | 84.5〜85.5cm |
| 170cm | 87〜88cm |
| 175cm | 89.5〜90.5cm |
| 180cm | 92〜93cm |
なお、2本のウォーキングポールを使う場合は、1本杖とは長さの決め方が異なります。ポールの長さはポールの長さ計算ツールで確認できます。
杖の合わせ方|実際に立って確認する方法
計算式よりも確実なのが、実際に立って合わせる方法です。東大阪病院 リハビリテーション部門(理学療法士)と福ナビは、次のような合わせ方を紹介しています。長さ合わせはふだん履いている靴を履いて行います。
- 手首の高さ:腕を自然に下ろしてまっすぐ立ち、手首の骨が出ているところの高さにグリップが来るようにします。東大阪病院がもっとも勧めている方法です。
- 脚の付け根の高さ:床から脚の付け根の出っ張り(大転子)までの長さ。福ナビによると、1とほぼ同じ長さになります。ただし東大阪病院は、この方法や身長からの計算では腕の長さや腰の曲がりが反映されにくいとして、1や3の方法を勧めています。
- 肘の角度:足の小指の外側の少し前に杖をついたとき、肘が軽く曲がる(30度前後)長さ。
腰や背中が曲がって前かがみの姿勢の方は、手首や脚の付け根の高さで合わせると杖が長くなりすぎるため、2〜3cm短めにする、または前かがみの姿勢のまま身長を測って計算するとよいとされています(福ナビ、福祉用具店の資料)。姿勢の曲がりが強い方や歩くのが難しい方は、理学療法士などに合わせてもらいましょう。
長すぎる・短すぎる杖はなぜ危ない?
ケイ・ホスピアなどの解説によると、長すぎる杖は体重をかけにくく、杖本来の働きが落ちます。短すぎる杖は重心が前に来て前かがみになり、不安定で危険です。体に合わない長さは、肩こりや手首の痛みの原因にもなりえます。長さを調節できる杖なら、季節で靴が変わったときにも見直しましょう。
杖の使い方|正しい持ち方と歩き方
ここでは、片手で使う杖(T字杖・多点杖)の基本の使い方を、老年病研究所附属病院(群馬県前橋市)のリハビリコラムと、シナノ・福ナビの解説をもとに紹介します。脳卒中の後遺症がある方などは、主治医や理学療法士から指導された方法を優先してください。
杖はどちらの手で持つ?
片手で使う杖は、痛い(悪い)脚と反対側の手で持ちます。杖と脚で支える面が広くなって安定し、悪い脚にかかる体重を杖に分担させられるためです(老年病研究所附属病院、福ナビ)。「利き手だから」と悪い脚と同じ側の手で持ってしまうのは、よくある間違いです。
基本の歩き方(3動作歩行)
杖を初めて使う方や、痛みがある方に向く基本の歩き方です。常に杖と脚のうち2点以上で体を支えるため、安定して歩けます。
- 杖を前に出す
- 悪い方の脚(杖と反対側の脚)を前に出す
- 良い方の脚を出して、そろえる
慣れてきたら(2動作歩行)
杖と悪い方の脚を同時に出し、次に良い方の脚を出す歩き方です。3動作歩行より速く歩けますが、より高いバランス能力が必要なので、3動作歩行で安定して歩けるようになってから試しましょう。
杖をつく位置
老年病研究所附属病院のコラムでは、まっすぐ立ったときのつま先から外側に約15cm、前方に約15cmの位置が目安とされています。杖は床に対して垂直につき、斜めについて滑らせないようにします。
階段の上り下りでの杖の使い方
階段では、上りと下りで脚を出す順番が変わります。上りは軸になる脚に力が、下りはバランスが必要になるためです(老年病研究所附属病院)。手すりがある場合は手すりも使いましょう。
| 場面 | 1 | 2 | 3 |
|---|---|---|---|
| 上り | 杖を1段上につく | 良い方の脚を上げる | 悪い方の脚を上げてそろえる |
| 下り | 杖を1段下につく | 悪い方の脚を下ろす | 良い方の脚を下ろしてそろえる |
同コラムは、脳卒中の後遺症などでは逆の順番の方が楽な場合もあるとしており、その場合は理学療法士に相談するよう勧めています。
段差や溝をまたぐとき
福ナビによると、敷居や溝などをまたぐときは、できるだけ近づいて両足をそろえ、杖を障害物の向こう側につきます。杖に体重をかけながら悪い方の脚からまたぎ、良い方の脚をそろえます。側溝のすき間などに杖先を挟まないよう注意しましょう。
よくある間違いとストラップの注意点
- 悪い脚と同じ側の手で持っている
- 杖を斜めについて滑らせている(杖の故障の原因にもなります)
- 痛い方の脚を杖より前に出している
- 段差の角や小石の上に杖先を置いている(先ゴム全体を地面に乗せます)
手首にかけるストラップは、使うかどうかを選べます。シナノの解説によると、ストラップには会計時や混雑時に杖を落としたり倒したりしにくいという利点があります。一方で、電車やエレベーターで体だけ先に降りて杖が中に取り残されると、ストラップに通した手が引っ張られて危険です。乗り降りのときは杖をしっかり手に持ちましょう。
高齢者におすすめの杖|タイプ別に紹介
ここからは、筆者がメーカーの公表仕様を確認したうえで、タイプ別に杖を紹介します。順位はつけず、使う場面や体の状態に合わせて選びやすいように分けています。仕様はメーカー等の公表値で、カラーや型番によって異なる場合があります。購入前にAmazonの商品ページでもご確認ください。
ふだん使いのT字杖(伸縮式)
毎日の散歩や通院など、いつも杖を持って歩く方には、たたむ手間のない伸縮式のT字杖が扱いやすい選択肢です。
T字杖(伸縮式)
幸和製作所 テイコブ 伸縮ステッキ EP02
主な仕様:長さ調節14段階(メーカー仕様)
こんな方に:折りたたみ機能は不要で、伸縮式のシンプルなT字杖をふだん使いしたい方
Amazonで見るT字杖(無段階伸縮)
島製作所 無段階伸縮ステッキ 77-1
主な仕様:長さ66〜103cm(レバー式で無段階調節)、重さ400g、本体アルミ・グリップ木製、パイプ径2.2cm
こんな方に:段階式ではなく、ちょうどよい長さに細かく合わせたい方
Amazonで見る持ち運びに便利な折りたたみ杖
旅行や外出先でだけ杖を使いたい方には、たたんでバッグに入れられる折りたたみ杖が便利です。福ナビが指摘するとおり、伸ばす・たたむには両手が必要なので、購入後に一度、自宅で組み立ての練習をしておくと安心です。
折りたたみ杖(伸縮)
幸和製作所 テイコブ 折りたたみ式伸縮ステッキ(首細)EON13
主な仕様:長さ78.5〜88.5cm・6段階、重さ300g、アルミニウム合金、グリップ径 上部1.9cm/下部1.6cm、SGマーク、ストラップ付き
こんな方に:手が小さい方、太いグリップだと指の間が痛くなりやすい方。持ち運び・収納を重視する方
Amazonで見る折りたたみ杖
シナノ 抗菌楽ーダ 折り畳み
主な仕様:重さ290g、全長75〜85cm(2cm間隔・6段階)、アルミ製T字杖、抗菌グリップ、ラチェット式調節
こんな方に:グリップの衛生面が気になる方、軽めの折りたたみ杖を探している方
Amazonで見る折りたたみ杖(軽量カーボン)
島製作所 折りたたみ めちゃ軽ステッキ 50C-3(携帯袋付)
主な仕様(同シリーズ50Cタイプのメーカー仕様):長さ78〜88cm(5段階)、折りたたみ時21cm、重さ200g、本体カーボン
こんな方に:できるだけ軽い折りたたみ杖を探している方
Amazonで見るおしゃれな杖(デザイン重視)
「持ち歩くなら気に入ったデザインがいい」という方向けです。どちらも折りたたみ式なので、ふだんはバッグに入れておけます。
おしゃれ杖(折りたたみ)
シナノ 折り畳み杖 ネオクラシカル ロングサイズ
主な仕様:長さ80〜90cm(2cm間隔・6段階)、対応身長 約156〜176cm(メーカー表示)、折りたたみ時 約26cm、重さ 約300g、耐食アルミ、やわらGELグリップ
こんな方に:レトロモダンなデザインが好みで、握りやすいゲルグリップも欲しい方
Amazonで見るおしゃれ杖(折りたたみ・花柄)
マキテック フォールディングケイン フローラル FGC-10FB
主な仕様:長さ77〜87cm(2.5cm間隔・5段階)、折りたたみ時 約29.7cm、重さ 約270g、シャフトはカーボン、グリップはカーボン・TPE、先ゴムは合成ゴム
こんな方に:花柄のデザインが好みで、軽さも重視したい方
Amazonで見る安定性を重視する方の多点杖(4点杖)
1本杖では不安定な方向けの4点杖です。多点杖は介護保険で貸与・購入できる場合があります。ただし、介護保険で購入できるのは、指定を受けた特定福祉用具販売事業者から買う場合に限られ(松江市)、レンタルも指定福祉用具貸与事業者を通して利用します(大阪市)。Amazonでの購入は全額自己負担になるため、要介護・要支援の認定を受けている方は、先にケアマネジャーに相談しましょう。
4点杖(アルミ)
幸和製作所 テイコブ アルミ製4点杖 EA4-102
主な仕様:長さ65.5〜88cm・10段階、重さ590g、アルミニウム合金、ベース幅16×奥行22.5cm、最大使用者体重100kg
こんな方に:1本杖より高い安定性が必要で、左右どちらの手でも使いたい方
Amazonで見る4点杖(スチールベース)
幸和製作所 アルミ4点支持杖 OD-E01
主な仕様:長さ71.5〜94.5cm・10段階、重さ745g、本体アルミニウム合金・4点支持ベースはスチール、持ち手ポリウレタン
こんな方に:重心が低くしっかりした4点ベースで、安定性を最優先したい方
Amazonで見る4点杖(カーボン)
島製作所 四点杖 オールカーボン四点式 ミドルタイプ
主な仕様:長さ62.5〜88cm(2.55cm間隔・11段階)、重さ 約450g、本体カーボン
こんな方に:4点杖の安定性が欲しいが、アルミ製より軽いものを探している方
Amazonで見る左右から支える2本杖
2本杖(2本1組)
シナノ あんしん2本杖
主な仕様:長さ80〜114cm、対応身長127〜181cm(メーカー表示)、重さ 約220g(1本)、アルミ合金、ボタン式18段階調節、日本製
こんな方に:1本杖では体が左右に傾きがちな方、両側から支えて歩きたい方。ポールを使ったウォーキングを始めたい方の最初の1組にも
Amazonで見る※ Amazonアソシエイトのリンクです。販売状況や最新の仕様はAmazonの商品ページでご確認ください。
杖は介護保険でレンタル・購入できる?
「杖 介護保険」「杖 レンタル」と検索される方は多いのですが、一般的なT字杖(一本杖)は介護保険の対象外です。厚生労働省の告示(平成11年厚生省告示第93号)では、介護保険で貸与(レンタル)できる「歩行補助つえ」を「松葉づえ、カナディアン・クラッチ、ロフストランド・クラッチ、プラットホームクラッチ及び多点杖に限る」と定めています。一部の解説サイトにはT字杖も対象のように読める記載がありますが、本記事では告示の定義を優先しています。
| 杖の種類 | 貸与(レンタル) | 購入(特定福祉用具販売) |
|---|---|---|
| T字杖・折りたたみ杖 | 対象外 | 対象外 |
| 2本杖・ウォーキングポール | 対象外 | 対象外 |
| 多点杖(4点杖・3点杖) | 対象 | 対象(2024年4月から) |
| ロフストランド・クラッチ、カナディアン・クラッチ、プラットホームクラッチ | 対象 | 対象(2024年4月から) |
| 松葉づえ | 対象 | 対象外 |
出典:厚生労働省告示第93号(福祉用具貸与の種目)・第94号(特定福祉用具販売の種目、令和6年厚生労働省告示第86号による改正)、厚生労働省「介護保険の給付対象となる福祉用具及び住宅改修の取扱いについて」(老企第34号)の令和6年改正、大阪市・松江市の案内。最終確認日:2026年10月7日
2024年4月からの「選択制」とは
令和6年(2024年)4月から、多点杖や、松葉づえを除くクラッチ類などは、貸与(レンタル)と購入のどちらかを選べる「選択制」になりました(大阪市・松江市の案内)。厚生労働省の審議会資料では、医師やリハビリ専門職などの意見を踏まえてケアマネジャーや福祉用具専門相談員が提案し、そのうえで利用者の意思で選ぶという考え方が示されています。
利用するときの基本
- 要支援でも利用できる:車いすや特殊寝台などは要支援1・2と要介護1では原則使えませんが、歩行器と歩行補助つえはこの制限の対象外です(大阪市)。
- 自己負担:購入の場合、自己負担は原則1割(一定以上の所得がある方は2割または3割)で、同一年度の購入費には上限額があります(松江市)。
- 指定事業者からの購入が条件:指定を受けた特定福祉用具販売事業者から購入しないと、介護保険は適用されません。支払い方法(いったん全額を払って後から払い戻しを受ける「償還払い」か、自己負担分だけを払う「受領委任払い」か)は自治体によって異なります(松江市)。
- 相談窓口:まずは担当のケアマネジャー、または地域包括支援センターに相談しましょう。
T字杖や折りたたみ杖、2本杖は介護保険の対象外のため、自費で購入することになります。
杖の先ゴムの点検と交換
杖の安全性を左右するのが先ゴムです。シナノの取扱説明書は、使う前にグリップやシャフトのキズ・ヒビ、先ゴムの異常などを点検し、先ゴムがすり減ったり破れたりしたら使用をやめて速やかに交換するよう案内しています。先ゴムを外したまま使うと、小石が挟まるなどして非常に危険です。
- 交換の目安:先ゴムの裏の溝がすり減ったら交換します(車のタイヤと同じ考え方)。交換時期は使う頻度や路面で変わるため一律ではありませんが、シナノは購入から半年・1年などのタイミングで一度確認するよう勧めています。
- サイズの選び方:交換用の先ゴムは、杖の品番に合うものを選びます(幸和製作所FAQ)。なお、先ゴムの表記サイズは外径ではなく、取り付けるシャフトの径です(ケイ・ホスピアFAQ)。
- 屋内での使用:滑りにくいタイプの先ゴムも通常の先ゴムと同様に屋内で使えます。なお、先ゴムの種類にかかわらず畳や床が傷む場合があります(シナノ よくある質問)。
- 天候と手入れ:雪道やぬかるみなど滑りやすい場所での使用は避け、やむを得ない場合は杖だけに頼らず同伴者に支えてもらいましょう。使ったあとは水分や汚れを拭き取り、乾いた屋内で保管します(シナノ 取扱説明書)。
杖・ポールの先ゴムのサイズ早見表と測り方、交換手順は杖・ポールの先ゴム交換ガイドで詳しく解説しています。やむを得ず雪道や凍結した道を歩くときの注意点は、冬のウォーキング|凍結路・雪道の歩き方をご覧ください。
専門家に相談したほうがよいケース
どの杖や歩き方が合うかは、年齢や体の状態によって個人差が大きく、本記事で参考にした病院・メーカー・福祉情報サイトはいずれも、理学療法士や医師、介護職への相談を勧めています。特に次のような場合は、自己判断で選ばず相談しましょう。
- 脳卒中の後遺症(片麻痺など)がある、または手術・骨折のあとで歩行訓練中
- 腰や背中の曲がりが強い、歩くこと自体が難しい
- 最近転んだ、または転びそうになることが増えた
- 多点杖・クラッチ類を介護保険で借りたい・買いたい(ケアマネジャー・福祉用具専門相談員が窓口)
- 杖を使うと手首や肩が痛む
日本理学療法士協会の転倒リスクの質問票では、「杖を使っている」ことも項目のひとつ(2点)で、合計6点以上で転倒しやすい状態と考えられるとしています。同協会は、自分のサイズに合った靴や、室内では滑りにくい靴下を選ぶこともポイントに挙げています。足腰の状態をセルフチェックしたい方は、ロコモ度チェックもご利用ください。
杖についてよくある質問
Q. 杖の長さはどう決めればいいですか?
A. 目安は「身長÷2+2〜3cm」(シナノ)または「身長÷2+3cm」(幸和製作所、ケイ・ホスピア)で、身長は靴を履いた状態で測ります(ケイ・ホスピア)。実際には、腕を自然に下ろして立ったときの手首の高さにグリップが来て、杖をついたときに肘が軽く曲がる長さに合わせます。
Q. 杖はどちらの手で持つのが正しいですか?
A. 片手で使う杖は、痛い(悪い)脚と反対側の手で持ちます。支える面が広くなって安定し、悪い脚にかかる体重を杖に分担できるためです(老年病研究所附属病院、福ナビ)。
Q. 介護保険でレンタル・購入できる杖はどれですか?T字杖も対象ですか?
A. 一般的なT字杖(一本杖)・折りたたみ杖・2本杖(ウォーキングポール)は対象外です。厚生労働省の告示は、介護保険で貸与(レンタル)できる「歩行補助つえ」を「松葉づえ、カナディアン・クラッチ、ロフストランド・クラッチ、プラットホームクラッチ及び多点杖に限る」と定めています(平成11年厚生省告示第93号)。購入(特定福祉用具販売)の対象は、このうち松葉づえを除くカナディアン・クラッチ、ロフストランド・クラッチ、プラットホームクラッチ、多点杖です(同第94号、2024年4月施行の改正)。つまり、多点杖とクラッチ類は貸与と購入のどちらかを選べ、松葉づえは貸与のみです。介護保険で借りたり買ったりするには要介護・要支援の認定が必要で、実際に使えるかどうかは体の状態やケアプランをふまえて判断されます。まずは担当のケアマネジャー(認定を受けていない方は地域包括支援センター)に相談してください。
出典:厚生労働省 法令等データベース 平成11年厚生省告示第93号・同第94号。最終確認日:2026年10月7日
Q. 折りたたみ杖と伸縮杖はどちらがいいですか?
A. ふだんから杖を使う方は、たたむ手間のない伸縮式が扱いやすいでしょう。旅行や外出先でだけ使う方には折りたたみ式が便利です。ただし福ナビによると、折りたたみ式は伸ばす・たたむのに両手が必要です。
Q. 2本杖と1本杖はどう違いますか?
A. 1本杖は、悪い脚と反対側の手で持ち、体重の一部を杖に分担させる道具です。2本杖は両手に1本ずつ持ち、メーカーのシナノは「左右のバランスが均等になり正しい姿勢を保ちやすい」と説明しています。どちらが合うかは体の状態によるため、痛みや麻痺がある方は専門家に相談してください。2本杖について詳しくは2本杖(ノルディック杖)の解説をご覧ください。
Q. 杖の先ゴムはいつ交換すればいいですか?
A. 先ゴムの裏の溝がすり減ったり、破れたりしたら交換します。交換時期は使い方で変わるため一律ではありませんが、シナノは購入から半年・1年などのタイミングで一度確認するよう勧めています。サイズの測り方や交換手順は杖・ポールの先ゴム交換ガイドで解説しています。
Q. 階段では杖をどう使いますか?
A. 上りは「杖を1段上へ→良い方の脚→悪い方の脚」、下りは「杖を1段下へ→悪い方の脚→良い方の脚」の順が基本です(老年病研究所附属病院)。手すりがあれば手すりも使いましょう。
Q. 杖と歩行器はどちらがいいですか?
A. 体の状態や使う場所によって異なり、一律には決められません。歩行器は、介護保険の告示で「移動時に体重を支える構造」をもつ用具とされています。介護保険では、歩行器(四脚)は貸与と購入を選べ、車輪付きの歩行車は貸与の対象です。杖では不安がある場合は、ケアマネジャーや理学療法士に相談して選びましょう。
まとめ|体に合った杖で、安心して歩き続ける
杖選びは、種類(T字杖・折りたたみ杖・多点杖・2本杖)→長さ(靴を履いた身長÷2+2〜3cm)→持つ手と歩き方の順に確認すると迷いにくくなります。T字杖は介護保険の対象外ですが、多点杖やクラッチ類は貸与・購入を選べる場合があるので、認定を受けている方はケアマネジャーに相談してから選びましょう。杖を使って歩くことに慣れてきたら、2本のポールで歩くポールウォーキング・ノルディックウォーキングも選択肢のひとつです。ポールの持ち方や長さの合わせ方はウォーキングポールの使い方で解説しています。
参考にした情報源
- 厚生労働省 法令等データベース「厚生労働大臣が定める福祉用具貸与及び介護予防福祉用具貸与に係る福祉用具の種目」(平成11年厚生省告示第93号)https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82999420
- 厚生労働省 法令等データベース「特定福祉用具販売に係る特定福祉用具の種目」(平成11年厚生省告示第94号)https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82999421
- 厚生労働省「介護保険の給付対象となる福祉用具及び住宅改修の取扱いについて」(平成12年老企第34号)令和6年改正 新旧対照表PDF
- 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会(第231回)資料6「福祉用具・住宅改修」https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001168124.pdf
- 大阪市「福祉用具の貸与について」https://www.city.osaka.lg.jp/fukushi/page/0000494898.html
- 松江市「特定福祉用具販売」松江市ウェブサイト
- 日本理学療法士協会「理学療法ハンドブック シリーズ18 転倒予防」PDF
- 福ナビ(東京都の福祉情報サイト)「杖の選び方」「杖の種類」「杖の使い方」「障害物の越えかた」https://www.fukunavi.or.jp/fukunavi/kiki/tsue/
- 老年病研究所附属病院 リハビリコラムNo.07PDF
- 東大阪病院 リハビリテーション部門ブログhttps://www.yurin.or.jp/rehabilitation/blog/?id=8609
- ケイ・ホスピア「杖の選び方」https://www.hospia.co.jp/stick/tip_3.html
- ケイ・ホスピア「先ゴムのサイズについて」https://www.hospia.co.jp/stick/tip_5.html
- シナノ よくある質問・杖の取り扱い説明書・杖ステッキなんでも情報館・あんしん2本杖https://kainos.jp/usersmanual.php
- 幸和製作所 よくあるご質問https://kowa-seisakusho.co.jp/contact/faq/
- 福祉用具店作成資料「杖の長さ・歩行器の高さの合わせ方」PDF
製品の仕様は各メーカー(シナノ、幸和製作所、島製作所、マキテック)の公式サイト・カタログ等で確認しました(2026年9月時点)。島製作所 オールカーボン四点式は、販売店掲載の仕様とAmazonの商品ページで確認しています。
執筆:イェウヘン・ポリシュク(2026年9月。2026年10月に介護保険のよくある質問などを更新)。制度や製品仕様は変更されることがあります。最新情報は各公式サイトや担当のケアマネジャーにご確認ください。
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